収納の失敗!パントリーの正しい設計
パントリー、憧れますよね。
食品も水もお米も、ぜんぶそこにしまえたら、キッチンがスッと片づく気がする。生活感も隠せて、急に人が来ても慌てなくて済みそう。
気持ち、めちゃくちゃ分かります。
でも大工として正直に言います。
「広くしといてよかった〜」より、「なんか使いにくいんだよね……」という相談のほうが多いんです。
せっかく面積を使ってつくったのに、奥の物が取れない。何を入れたか分からない。思ったほど収納できない。
そして、なぜか物だけ増える。
今日はその、完成写真ではあんまり語られない“パントリーのその後”の話を。
目次
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「広さ、何畳がいいですか?」が、もう間違い
パントリーの相談で、いちばん最初に聞かれるのがこれ。
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奥行きの深い棚が、家庭内リサイクルショップになる日
深い棚は、いっぱい入ります。
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立派なパントリー、よく見たら“ちょっと豪華な廊下”問題
ウォークインのパントリー、憧れますよね。
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パントリーの正解は、キッチンの隣じゃないかもしれない
「パントリーは、とりあえずキッチンの横に」
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映える収納は、三日でバレる
そろえた容器。貼ったラベル。統一された色。
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棚も、黙って我慢してます
パントリーへ集まる物、地味に重いんですよ。
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扉を閉めた瞬間、そこは無風地帯
パントリーは、扉を閉めると空気が止まりやすい場所です。
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収納って、増やすと物も増えるんです
収納が増えると安心します。
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ONEHOUSEが考える、後悔しにくいパントリー
大事なところだけ、まとめます。
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「広さ、何畳がいいですか?」が、もう間違い
パントリーの相談で、いちばん最初に聞かれるのがこれ。
「一畳あれば足りますか」
「二畳あったほうが便利ですか」
気持ちは分かるんですけど。実はそこ、最初に決めちゃいけないとこなんです。
置く物が、家庭によって全然違う。
調味料を少し置きたい家と、水やお米を箱で買う家。ホットプレートや卓上コンロまで置きたい家。災害用の備蓄をまとめたい家。
必要な広さが、まるで別モノですよね。
先に「二畳」と箱だけ決めると、中身の決まっていない収納が完成する。
そして人は、空いた棚を見るとなぜか詰めたくなるんです。
まだ置ける。もう少し買える。せっかくパントリーがあるんだから。
そうして収納する物に合わせて広さを決めたはずが、いつの間にか広さに合わせて物を増やし始める。
順番が逆なんですよね。
ONEHOUSEでは、まず何を置くのかを考えます。
何を、どれくらい、どこから持ち込むのか。料理中に何を取り出すのか。重い物はどこへ置くのか。
その動きと物量から、棚の寸法や必要な広さを割り出す。
広さは最初に決めるものではなく、暮らしを整理した結果として決まるものです。
順番なんです、全部。
奥行きの深い棚が、家庭内リサイクルショップになる日
深い棚は、いっぱい入ります。
入るんですよ、たしかに。
問題は、奥に置いた物が……二度と表へ出てこないこと。
手前が奥を隠す。隠れた物は忘れられる。
人間って、見えない物は「持っていない物」として扱うんですよね。
で、また買う。
同じ調味料が二本出てくる。三本目を買ってから二本目に気づくこともある。
調味料なら、まだ笑えます。
同じホットプレートが二台出てきたときは、さすがに家族で話し合いになります。
誰が買った。いつ買った。なぜ誰も覚えていない。
もう収納というより、家庭内リサイクルショップです。品ぞろえだけはいい。
だからONEHOUSEでは、収納量が欲しいからといって、全部の棚を深くはしません。
よく使う物は、ひと目で見渡せる浅さにする。大きな家電や箱物を置く棚だけ、それに合った奥行きを取る。
棚の奥行きを全部そろえると、見た目はきれいです。
でも置く物の寸法は、そろっていない。
缶詰とホットプレートが、同じ奥行きを必要とするわけじゃありませんから。
たくさん入ることより、何があるか分かること。
そっちのほうが、暮らしはずっと楽です。
立派なパントリー、よく見たら“ちょっと豪華な廊下”問題
ウォークインのパントリー、憧れますよね。
中に入れて、左右に棚が並んで、食品も家電も全部まとめられる。図面で見ると、かなり頼もしい。
ただ、人が中へ入る収納には通路が必要です。
棚の前に立つ場所。体の向きを変える場所。物を持って歩く場所。
全部、面積を使います。
気づいたら真ん中は、ほぼ通路。
立派な収納をつくったつもりが、“ちょっと豪華な廊下”が完成していることがあります。
歩けます。振り向けます。収納もちょっとあります。
廊下としては、かなり高性能です。
もちろん、まとめ買いが多い家や、大きな調理家電をたくさん持つ家には、ウォークイン型が合うこともあります。
全部ダメとは言いません。
ただ、その一畳を玄関や洗面、キッチンの作業スペースへ回したほうが、家全体では暮らしやすくなる場合もある。
パントリーだけを切り取って考えないことです。
家の面積は増えません。
どこかを広くすれば、どこかが狭くなる。当たり前なんですけど、図面を見ていると忘れやすい。
収納量だけでなく、家全体の面積配分まで見て決めます。
パントリーの正解は、キッチンの隣じゃないかもしれない
「パントリーは、とりあえずキッチンの横に」
よく分かります。料理で使う物を置く場所ですから、近いほうが便利そうに見える。
でも本当に効くのは、キッチンの隣かどうかより、“通り道”に置けているかなんです。
買い物から帰る。玄関で靴を脱ぐ。重い水やお米を持って家の中へ入る。
玄関からパントリーが遠ければ、その重い物を毎回抱えて歩くことになります。
一回なら、たいした距離じゃありません。
でも、それを何年も繰り返す。
買って、運んで、しまって、取り出して、料理する。
この流れがスッとつながっているか。
途中で扉を何枚開けるのか。一度荷物を床へ置かないと通れないのか。家族とすれ違えるのか。
図面上では、ほんの数歩の違いです。
暮らしの中では、何千回分の違いになります。
家の使いやすさは、こういう小さい積み重ねで決まるんです。
映える収納は、三日でバレる
そろえた容器。貼ったラベル。統一された色。
SNSで見ると、素敵ですよね。
小麦粉も砂糖もパスタも、同じ容器にきれいに収まっている。扉を開けるたびに気持ちよさそうです。
最初はいいんです。
最初は。
でも毎日の暮らしは、そんなに優雅じゃない。
買ってきた物を袋から出す。容器を棚から出す。ふたを開ける。移し替える。こぼした粉を拭く。また元へ戻す。
忙しい日が三日も続けば、だんだん移し替えなくなります。
袋のまま横へ置く。とりあえず手前へ置く。空になった容器だけが、妙にきれいに並んでいる。
これ、片づける人が悪いんじゃありません。
手間のかかる収納をつくった時点で、そうなる運命だっただけ。
収納は、元気な日の自分に合わせちゃいけない。
仕事で疲れた日。子どもが泣いている日。夕飯を急いでいる日。
そんな日でも無理なく戻せるか。
ONEHOUSEが見るのは、そこです。
頑張らないと続かない収納より、多少雑でも自然に片づく収納。
長い目で勝つのは、こっちです。
棚も、黙って我慢してます
パントリーへ集まる物、地味に重いんですよ。
水、お米、缶詰、調味料、卓上コンロ、ホットプレート。
一つずつ持つと、そこまででもない。でも棚一段へ並べると、かなりの重量になります。
棚板を長くすると、時間とともに真ん中からじわ〜っとたわむ。
最初は、ほんのわずか。
毎日見ていると気づきません。
ある日、棚を横から見て「あれ?」となる。
棚も、けっこう頑張ってるんです。黙って。
だから大工は、棚を「ただの板」として見ません。
何を置くのか。どれくらいの重さになるのか。棚板の厚みは足りるのか。どこで支えるのか。幅をどれくらい飛ばすのか。
固定棚にするのか、可動棚にするのか。将来、置く物が変わったときに高さを調整できるのか。
完成日にまっすぐなのは、当たり前です。
その状態が五年、十年と続くか。
大工が見ているのは、そっちです。
収納量を増やそうとして棚板を長くしすぎると、見た目はスッキリしても、板にはずっと負担がかかります。
見た目の線を減らすことと、長く使えること。
どちらを優先するかは、置く物まで見て決めないといけません。
扉を閉めた瞬間、そこは無風地帯
パントリーは、扉を閉めると空気が止まりやすい場所です。
そして食品を置く。
この組み合わせ、実はけっこう気を使います。
湿気がこもる。夏は熱がこもる。外壁側なら、場所によっては温度差も出る。
食品を置く場所なのに、間取りや棚の話ばかりで、空気のことが置き去りにされやすいんです。
「じゃあ窓をつければいい」と思いますよね。
窓があれば換気できそうです。
でも、日が差し込めば室温が上がる。窓の位置や方角によっては、食品を保管する場所として逆に条件が悪くなることもあります。
窓は、つければ全部解決する魔法の穴ではありません。
空気がどこから入り、どこへ抜けるのか。
扉を閉めた状態で空気は動くのか。家全体の換気計画の中で、パントリーが取り残されていないか。
ONEHOUSEがずっと大事にしているのは、この流れです。
空気は見えません。
でも湿気やにおい、暑さとして、あとからちゃんと結果を出してきます。
見えなくなる場所ほど、先に考えておかないと泣きます。
収納って、増やすと物も増えるんです
収納が増えると安心します。
空いた棚を見ると、「まだ置ける」と思う。
思った瞬間、少し多めに買う。
棚が埋まる。
すると今度は、「収納が足りない」と思う。
……無限ループです。
人類、ずっとこれで負けてます。
パントリーをつくる目的は、物をたくさん持つことではありません。
必要な物が分かること。サッと取り出せること。同じ物を何度も買わないこと。買った食品を忘れずに使い切れること。
広い収納があっても、何が入っているか分からなければ、暮らしは楽になりません。
むしろ、管理する物が増えるぶん大変になることもあります。
だから収納量を考えるときは、「最大でどれだけ入るか」ではなく、「普段どれだけ持つのか」を基準にする。
余白は必要です。
ただし、余白を全部埋める必要はない。
空いている棚を見ると、ちょっと不安になりますけどね。
あれは不足じゃありません。
取り出しやすさです。
収納って、物を隠す場所ではなく、本当に必要な物を見つめる場所なのかもしれません。
ONEHOUSEが考える、後悔しにくいパントリー
大事なところだけ、まとめます。
広さを先に決めない。
まず、しまう物の量と寸法を確認する。
すべての棚を深くしすぎない。よく使う物は見渡せる奥行きにする。
玄関から収納、キッチンまでの動線をつなげる。
重い物を置く棚は、板の厚みや支え方までセットで考える。
扉を閉めたあとの空気も見る。
そして、片づける人の頑張りに頼りすぎない。
パントリーは、目立たない場所です。
扉を閉めれば見えないし、お客さんへ見せるための場所でもありません。
それでも毎日の買い物と料理と片づけを、静かに支えています。
使いにくければ、毎日少しずつ面倒が積み重なる。
使いやすければ、特別に感動することはないかもしれません。
ただ、何も考えずに物をしまえて、必要な物がすぐ出てくる。
本当にいい収納は、たぶんそのくらい静かなものです。
ONEHOUSEは、見えるところだけをきれいにつくる会社ではありません。
構造も、素材も、空気も、動線も、納まりも。
完成したら見えなくなる部分ほど、本気で考える。
棚板が十年後もまっすぐか。重い物を持って無理なく歩けるか。扉を閉めた奥で空気が止まっていないか。
そういう地味な判断の積み重ねが、十年後も後悔しにくい家につながると思っています。
いい収納って、たくさん入る収納のことじゃないんですよね。
暮らしの邪魔をせず、黙って支え続けてくれる収納のこと。
……まあ、そういう地味なとこばっかり気にしてるから、大工なんですけど。
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